業務改善助成金と最低賃金上昇には密接な関係があり、要件を満たせば企業は最低賃金の引き上げによる負担を軽減しつつ、生産性向上を図る機会としてこの助成金を活用できます。
具体的には、事業所内最低賃金を引き上げと生産性向上に資する一定の経費支出を事前に労働局に申請し許可を得る事により、経費の一定の割合(令和7年度は最高80%)が助成金として支払われます。
厚生労働省のPDFは以下の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001471309.pdf
なお経済産業省の補助金と違い、厚生労働省管轄の助成金の申請代行が可能なのは社会保険労務士(または弁護士、ただ取扱弁護士は聞いた事はない)に限られています。
業務改善助成金と最低賃金上昇の関連性
業務改善助成金は、最低賃金の上昇に伴う企業の負担を軽減するために設けられている制度です。したがって、人件費の苦しい企業は本助成金をうまく活用して経営の効率化に役立てることが大切です。
※制度上全て時給で表記されていますが、もちろん日給や月給制でも時給換算しての対象ですし、むしろ正社員の方が時給換算したら最低賃金を割っていた事が以前にもありました。最低賃金の大幅上昇により最低賃金を割ると最低賃金法違反となるため注意して下さい。
令和7年度では以下のようになります。
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申請要件: 業務改善助成金の申請には、事業場内最低賃金(事業所で最も低い時給、全て時給換算で計算)が、その地域の地域別最低賃金と50円以内の差である必要があります。この要件は、最低賃金の引き上げが直接経営に影響する事業者を対象としていることを示しています。
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賃上げが必須: 助成金を受け取るためには、従業員の賃金を30円以上引き上げる計画が必要です。最低賃金が上昇する中で、従業員の給与を最低賃金以上に保つことはもちろん、さらに上乗せして賃上げを行う事業者を支援します。
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生産性向上と両立: 最低賃金が上昇すると人件費が増え、企業の経営を圧迫します。業務改善助成金は、賃上げと同時に業務効率化のための設備投資を支援することで、人件費増を生産性向上で補うことを目的としています。
2025年の最低賃金データと助成金の要点
2025年度の最低賃金は、全国加重平均で時給1,118円(前年度比63円増)と答申され、全都道府県で1,000円を超える見込みです。これは過去最大の引き上げ幅となります。
このような大幅な最低賃金の上昇を踏まえ、業務改善助成金は事業者をサポートします。
※注意事項
地域別最低賃金の引き上げ(10月以降順次施行)に際して業務改善助成金を申請する場合、施行日の前日までに引き上げる事が必要となっています。
各都道府県の労働局によって助成金の要綱が違うため断言は出来ませんが、仮に遅れた場合は最低賃金法違反は別問題として、遡及的に差額支払いで要件を満たした経験があります。
1. 助成率の優遇措置
賃金引き上げ前の事業場内最低賃金が1,000円未満の事業者に対しては、助成率が通常より高い**4/5(80%)**に設定されています。これは、最低賃金の上昇による影響を特に大きく受ける事業者を優先的に支援するためです。全国的に最低賃金が1,000円を超える中で、この優遇措置の恩恵を受けられる事業者は減少する可能性がありますが、引き続き賃金の低い地域や事業者を対象とした重要な仕組みです。
2. 助成上限額の引き上げ
2025年度は、事業主単位での申請上限が最大600万円に引き上げられました。これにより、複数人の賃上げと大規模な設備投資を同時に行うことが可能となり、より大きな規模での業務改善と賃上げを後押しします。
3. 申請期間の複数化
2025年度は申請期間が複数回に分かれています。現在は第二期です。最低賃金の改定時期に合わせて賃金引き上げの計画を進められるよう、事業者は計画的に申請を行う必要があります。
このように、2025年の最低賃金の大幅な引き上げは、人件費増という課題を企業にもたらす一方で、業務改善助成金という制度を活用して生産性向上と従業員の待遇改善を同時に実現する好機とも言えます。
個人的には、これまで無理して最低賃金より高い時給を支払っていた企業が報われない制度なので最低賃金との差額要件は検討の余地を感じますが、うまく活用して賃金上昇に役立てていただくことを願います。

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