在職老齢年金は月65万円まで|2026年度はいくら働くと減る?計算式と具体例

2026年度(令和8年度)から、働きながら受け取る老齢厚生年金の減額基準「支給停止調整額」が月65万円に引き上げられました。結論から言うと、給与(賞与込み月額換算)と厚生年金の合計が月65万円以下なら、年金は1円も減りません。前年度の51万円から14万円の大幅引き上げで、多くの方が「年金を気にせず働ける」ようになっています。

在職老齢年金とは?誰が対象?

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く場合に、給与と年金の合計が基準額を超えると年金の一部(または全部)が支給停止になる仕組みです。

対象は「老齢厚生年金を受給しながら厚生年金の被保険者として働く方」。減額されるのは老齢厚生年金(報酬比例部分)のみで、老齢基礎年金は減額の対象外です。70歳以降は厚生年金保険料の負担はなくなりますが、加入要件を満たす働き方を続ける限り支給調整の対象にはなり続けます。

2026年度はいくらまで働くと年金が減る?

判定に使うのは次の2つの合計です。

・基本月額:老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額(加給年金額を除く)
・総報酬月額相当額:標準報酬月額+直近1年の賞与÷12

この合計が65万円以下なら全額支給。65万円を超えると、超えた分の半分だけ年金が停止されます。

計算式:支給停止額 =(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2

具体例:月収46万円・年金10万円の場合

基本月額10万円、総報酬月額相当額46万円(合計56万円)のケースで比べてみます。

【2025年度まで(基準51万円)】
合計56万円は51万円を5万円超過 → 超過分の半分=2.5万円が停止 → 年金支給は月7.5万円

【2026年度(基準65万円)】
合計56万円は65万円以下 → 年金は月10万円の全額支給

同じ働き方でも、年間30万円の差になります。

不動産収入や配当があると減額される?

されません。判定に使うのは標準報酬月額と標準賞与額、つまり厚生年金の対象になる給与・賞与だけです。不動産収入・配当・個人事業の収入・企業年金などは合計に含まれません。逆に言えば、給与を役員報酬以外の形に整理しても、厚生年金の報酬に該当すれば調整対象のままです。

注意点:65万円は毎年変わる

支給停止調整額は毎年度、賃金変動に応じて改定されます。65万円は令和8年度の額であり、来年度以降は変わる可能性があります。また、支給停止された分は後から戻らず、繰下げ受給の増額対象にもなりません。「停止されない範囲で働く」か「停止を気にせず稼ぐ」かは、年金月額と給与水準しだいで損益分岐が変わります。

なお、ネット上では基準額を「62万円」と記載している記事も見かけますが、これは誤りではなく2024年度価格の法定額です。支給停止調整額は名目賃金の変動に応じて毎年度改定されるため、令和8年度の実際の適用額は65万円になっています。ちなみに年金額本体の改定は「賃金と物価の低い方」を基準にしますが、支給停止調整額の改定は賃金のみを参照する、という違いもあります。

よくある質問

Q. パート勤務でも年金が減りますか?

厚生年金に加入しない働き方(適用要件を満たさない短時間勤務)なら、給与がいくらでも在職老齢年金の対象外です。減額されるのは厚生年金に加入して働く場合だけです。

Q. 65歳前の特別支給の老齢厚生年金も同じ基準ですか?

はい、同じ支給停止調整額で判定されます。

Q. 基礎年金も止まりますか?

止まりません。調整対象は老齢厚生年金(報酬比例部分)のみです。

まとめ

2026年度の在職老齢年金は「給与+厚生年金=月65万円」が分岐点。前年度より14万円緩和され、月収40万円台で働く年金受給者の多くは全額受給できるようになりました。ご自身の基本月額はねんきん定期便や年金機構の通知で確認できます。制度の正確な内容は日本年金機構の公式ページをご確認ください。

出典:日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」「在職老齢年金の計算方法」、厚生労働省「令和8年度の年金額改定」

執筆者:摩耶社会保険労務士事務所(運営者情報

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