助成金・給付金の通知、なぜ「誰でももらえる」と誇張するのか【社労士が警告】

助成金・給付金の通知、なぜ「誰でももらえる」と誇張するのか【社労士が警告】

社会保険労務士・FPとして日々相談を受ける中で、最近特に増えているのが「助成金の通知が来たのですが、これは本当にもらえるのでしょうか」というご質問です。

結論から言うと、多くの通知はタイトルと実際の受給資格が一致していません。悪意ある詐欺とは言い切れないケースがほとんどですが、タイトルだけを見て「自分ももらえる」と誤解してしまう設計になっている情報サービスが実在します。本記事では、実際に確認できたパターンをもとに、注意すべき3つの類型を解説します。

パターン1:個人向けに見えて、実は企業向け

「〇〇1人あたり75万円の奨励金がもらえます!」といった見出しをよく見かけます。しかし内容を確認すると、実際は特定の自治体内で工場や事業所を新設し、対象となる人材を正社員雇用した”事業者”に交付される奨励金であるケースがあります。

つまり、個人が申請して受け取れるものではなく、経営者が従業員を雇用した場合に企業側が受け取る制度です。見出しだけを見た個人が「自分に75万円が振り込まれる」と誤解しても不思議ではない書き方になっています。

パターン2:海外の制度を、日本国内向けであるかのように見せる

さらに注意が必要なのが、「全国の対象者へ月15万円相当の生活支援」といった見出しの実態が、実はイギリスなど海外の制度だったというケースです。「運転免許があれば給付金がもらえる」という見出しの中身が、オーストラリアの燃料費補助制度だった例も確認しています。

本文をよく読めば海外制度であることは明記されているのですが、通知やSNSでタイトルだけが流れてくると、日本国内の制度だと誤解してしまう読者は少なくないはずです。

パターン3:「全国」「誰でも」という言葉と、実際の地域限定がねじれている

「全国の高齢者に最大〇万円」「全世帯対象」といった見出しに対し、本文では「この制度は〇〇市の住民向けです。全国の対象者が受け取れる制度ではありません」と注記されているケースが多数あります。

本文には正確な情報が書かれているにもかかわらず、見出しやサムネイルだけが独り歩きし、通知をタップした瞬間には「自分ももらえるかもしれない」という期待が先に立ってしまう構造です。

なぜこうした見出しが横行するのか

これは多くの場合、詐欺というより「クリックしてもらうための見出し設計」が優先された結果だと考えられます。助成金・補助金・給付金は本来、対象要件が細かく定められた制度です。しかし「対象者は要確認」「対象者は要チェック」という一文を末尾に添えるだけで、見出しの誇張表現が許容されてしまっている実態があります。

閲覧数や通知の開封率を優先するメディア運営の構造上、こうした表現は今後も増えていく可能性があります。

情報を受け取る側としての自衛策

  1. 見出しだけで判断しない:必ず本文の対象要件(地域・年齢・職業・所得等)まで確認する
  2. 「全国」「誰でも」という言葉を見たら、まず疑う:本当に全国一律の制度であれば、厚生労働省や自治体の公式サイトに必ず記載があります
  3. 公式情報源で裏を取る:気になる制度名が出てきたら、厚生労働省・お住まいの自治体・全国健康保険協会など一次情報源で検索し直す
  4. 雇用関係助成金の申請代行は社労士の独占業務であることを知っておく:キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など厚生労働省管轄の雇用関係助成金は、社会保険労務士法第27条により、無資格者が報酬を得て申請代行することが禁止されています。「弊社にお任せください」という勧誘を受けた場合は、相手が社労士登録者かどうかを必ず確認してください

まとめ

助成金・補助金・給付金の情報自体は、正しく活用すれば経営や家計の助けになる有益な制度です。問題は制度そのものではなく、「見出しと実態のズレ」を利用した情報発信のあり方にあります。

不安になったり、疑問に感じた通知があれば、一人で判断せず、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーなど専門家に確認することをお勧めします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました