副業・掛け持ちバイトの残業代はどうなる?2026年の法改正議論を整理

「副業をすると残業代の計算が複雑になる」と聞いたことはありませんか。実はこのルール、2026年に大きく見直される可能性があります。この記事では、2026年7月時点で分かっている最新の議論内容を、副業をする方・複数の従業員を雇う事業主の方、両方の視点からわかりやすく整理します。

まず押さえたい:現行ルールはこうなっている

現在の労働基準法では、同じ人が複数の会社で働く場合、労働時間は会社をまたいで合算(通算)することになっています。

たとえば本業(A社)で1日8時間働いたあと、副業(B社)で2時間働いたとします。この場合、法定労働時間(1日8時間)を超えた分の割増賃金は、原則として「あとから労働契約を結んだ会社」であるB社が負担する仕組みです。

B社からすれば、自社では2時間しか働いていない人に対して残業代を払う義務が生じることになり、「なぜウチが」という不満や、そもそも従業員の副業先での労働時間をどう把握するのかという実務負担が長年の課題でした。この課題を解消するために、見直しの議論が進んでいます。

現行ルールと改正案の比較

現行ルール 改正案(検討中)
労働時間の通算 本業・副業をまたいで通算する 割増賃金の計算では通算しない
割増賃金の負担 あとから契約した会社(多くは副業先) 各社が自社の労働時間のみを基準に計算
同一事業主内の兼務・出向 通算する 引き続き通算する見通し
健康管理のための労働時間把握 明確な義務ではない 一定程度の把握が引き続き求められる見通し
業務委託・フリーランスの副業 労基法の対象外 変更なし(対象外のまま)
施行時期 現行制度が適用中 2026年中に法案提出、成立すれば2027年4月施行見込み(未確定)

見直しの方向性:割増賃金は「通算しない」方向へ

厚生労働省の労働基準関係法制研究会での議論では、割増賃金の算定については労働時間を通算しない方向性が示されています。実現すれば、各社は自社での労働時間だけを基準に、1日8時間・週40時間を超えた分の割増賃金を支払えばよくなります。

ただし注意したいのは、「通算をやめる=会社は何も考えなくてよくなる」ではないという点です。健康管理の観点から、従業員の総労働時間を一定程度把握する努力は引き続き求められる方向で議論されています。

いつから変わる?現時点のスケジュール

2026年7月現在、このルールはまだ「検討段階」であり、確定した新ルールが施行されているわけではありません。今後、労働政策審議会での審議を経て2026年中に労働基準法の改正法案が国会に提出され、成立すれば2027年4月からの施行が見込まれています。ただし審議の過程で内容が修正される可能性もあるため、今の時点で確定した情報として扱うのは早計です。

今、何をしておけばいい?

副業・掛け持ちで働く方へ

現時点ではまだ現行ルール(通算あり)で運用されています。「本業が8時間以内だから副業先の残業代は関係ない」ということにはならないので、複数の勤務先を掛け持ちする際は、それぞれの契約内容と労働時間を自分でも把握しておくことをおすすめします。

掛け持ちバイトの適法性そのものが気になる方は、スキマバイトは怪しい?スポットワークの法的問題と厚労省通達も参考にしてください。

複数の従業員を雇う事業主・人事担当者の方へ

制度が変わった後も、健康管理の観点からの労働時間把握は求められ続ける見通しです。副業を認める・認めないの判断基準や、健康状態を確認する仕組み(面談など)を、今のうちから就業規則に整理しておくと、法改正後もスムーズに対応できます。

まとめ

副業・兼業の割増賃金ルールは、企業の事務負担軽減と働き手の選択肢拡大を目的に見直しが進んでいますが、2026年7月現在はまだ検討段階です。「通算がなくなる=会社は何もしなくていい」ではなく、健康管理の観点からの配慮は引き続き必要になる見通しです。今後の国会審議の動向を、当事務所でも引き続き注視していきます。

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